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aiileが生まれる何年も前。
縫製工場をやるために夫婦で秋田に移住してきた最初の年の話ですが、
CMで『秋田公開収録』の文字を見て、軽い気持ちで『新婚さんいらっしゃい』に応募しました。
予選では私たちよりインパクトのあるご夫婦ばかりで圧倒され、参加賞もらえるしいい思い出になったねなんて話していたのに、
予想外に最終組に選ばれ、番組に出場することとなりました。
私は秋田弁にキュンとしたり、縫製工場の人たちの秋田弁が聞き取れない話などをしました。
ステージ衣装はaiile立ち上げ時にお世話になったデザイナーさんがこの日のためにデザインしてくれて、
工場のスタッフが縫ってくれた世界で1枚だけのワンピースを着ました。
番組の最後に桂文枝師匠と記念撮影をした後に(山瀬まみさんは残念ながらお休みだった)文枝師匠が声をかけてくれました。
『オリジナルブランドをやった方がいいよ。がんばってね。』
この言葉は私たちの中にずっと残っていて、その灯火はいつかやってみたいと心の奥底で静かに揺らめいていました。
(文枝師匠はとても紳士で素敵でかっこよかったです。)
数年後、本当にオリジナルブランドをやることになるのですが、aiileが生まれる前にはいろいろな別の構想がありました。
"シャツ工場だしやっぱりシャツだよね、究極のメンズシャツを作ろう"
というのは今考えたらとても安易だったのですが私たちは真剣でした。
百貨店を巡りシャツのリサーチから始め、実際にこだわりポイントを細かく入れたサンプルを作りました。それなりにいいシャツが出来ました。まあシャツ工場なので、シャツの縫製技術には長けています。
だけど世の中、いいシャツはもうあふれています。差別化はどこなのか、ターゲット、販路‥
すぐに行き詰まりです。
結果、メンズシャツブランド案はボツとなりましたが、ひとつとても良い気付きを得られました。
"人は着心地が良い服を無意識に選ぶ"
リサーチしている時に出会ったPRADAのメンズシャツがあります。
社長が着てみると体型がスッとし痩せて見える。
生地の質感がとても良く着心地が良い。さらに、腕が上がる体が回せる。
さすがPRADA。
そしてやっぱり着心地が良いから、手に取る。しょっちゅう着ている。
価格は高かろうが安かろうが、人は着ていて楽ちんで、自分が良く見える服を無意識に選ぶ。
この気付きは、aiileのコンセプト考案の際にとても役に立ちました。
デザインが気に入って買っても、肌触りに違和感があったり苦しかったり動きづらかったらすぐに着なくなる。
せっかくご購入いただいたら長く着てほしい、たくさん手に取ってほしい。
aiileが着心地の良さ、身体が綺麗に見えることを特に大切にしているきっかけになった出来事のひとつです。
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